TG-40 マイコンプログラム

TG-40 は、PIC マイコン PIC16F18346 で制御されます。
プログラムの主な機能は、次のようなものです。
  • ボリュームチューニング・DDS ユニット制御
  • キーイング・フルブレークイン制御
  • 局発周波数可変機能 (送受周波数合わせ)
  • オフバンド防止機能
  • TG-40用液晶表示キット(オプション)の制御
  • 液晶表示の周波数誤差補正機能
  • 電源ON時の誤送信防止機能


   ボリュームチューニング・DDS ユニット制御
TG-40 のボリュームチューニングは、PIC の A/D コンバータによってボリュームの電圧をデジタル値に変換し、周波数データとしています。
ボリュームチューニングは、60Hz ステップで可変しますが、プログラム内部では、10 ビット( 1024 段階)で処理しており、30Hz の分解能で動いています。
ボリュームのワイパーが丁度 30Hz ステップの境目で止まっているとき、A/D コンバータからのデジタル値は、30Hz だけ上の値になったり、下の値になったり、パタパタと可変してしまうときがあります。
これを防止するため、プログラムでは、60Hz 以上変化したときだけ周波数データの更新を行っているので、可変ステップは 60Hz となっています。

RIT の可変ステップは、10Hz です。RIT ボリュームの電圧の平均値を 8 ビット(512段階)の分解能で処理しています。

DDS ユニットへの周波数データは、SCLK, SDATA, FSYNC の 3 本の制御線で送っています。
なお、デジタルノイズが受信部に妨害を与えないように、周波数が可変したときのみ周波数データを送るようにしています。


   キーイング・フルブレークイン制御
キーダウンすると、先ず PIC マイコン の #17 IF-ON が Low となり、IF アンプをミュートします。
続いて DDS ユニットへ 7MHz のデータを送信し、PIC マイコンの #11 TX が High となって、ファイナル FET のゲート制御 IC102 (TC7SH00FU) のゲートが開き、ファイナル FET が駆動を始めて 7MHz が出力されます。

キーアップすると、先ず #11 TX が Low となって ファイナル FET が OFFし、次に DDS ユニットへ 2.81MHz のデータを送信してから
#17 IF-ON が High となって受信を開始します。


   局発周波数可変機能(送受周波数合わせ)
クリスタルフィルターに使用しているクリスタルは、4.19MHz ですが、ロットやメーカーによって微妙に内部諸元が違ってくるので、フィルターの中心周波数(IF 周波数)にバラツキが出ます。
そのため、IF 周波数のバラツキに合わせて局発周波数を調整する機能です。
半固定ボリューム VR00 の電圧を PIC の A/D コンバータでデジタル値に変換して局発周波数 (DDS の 2.81MHz) を可変します。


   オフバンド防止機能
7000.600kHz 以下で送信が禁止され、出力 OFF となる機能です。
7000.600kHz 以下で送信しようとするとサイドトーンが 100Hz (ブーというブザー音) になり 7MHz の出力が出なくなります。

DDS ユニットで使用しているマスタークロック用の 30MHz クリスタル発振器の周波数は、スペック上 ±50ppm のバラツキがあります。(実力はここまでバラつかず、±5ppm 程度です)
従って 7MHz の出力も最大±50ppm (±350Hz) ズレる可能性があります。
また、電波法上、CW (A1A) の信号の占有周波数帯域幅は、500Hz (±250Hz) と定められています。
従って、オフバンドをしないためには、7000.000kHz + 350Hz + 250Hz = 7000.600kHz 以上で送信する必要があります。

TG-40 では、7000.600kHz 以下で送信すると PIC #11 ピン TX が Low 固定になり、送信出力が出なくなります。


   TG-40 用液晶表示キット (オプション) の制御
基板上の LCD 端子に TG-40 用液晶表示キットを接続すると周波数表示が可能となります。
液晶表示器との接続は、SCL, SDA, 5V, GND の 4 本だけです。(I2C 伝送)
デジタルノイズが受信部に妨害を与えないように、周波数が可変されたときだけ周波数データを伝送するようにしています。
液晶表示器との接続線からはノイズが出ますので受信部から離し、出来るだけ最短距離となるように配線します。

tg-40_lcd_wiring







   液晶表示キットの接続線は、
                   出来るだけ最短距離で配線する



   液晶表示の周波数誤差補正機能
DDS ユニットには、±50ppm の周波数誤差がありますので、これを補正して基準となるメーカ製トランシーバの周波数表示に合わせる機能です。

7015.00kHz に設定したメーカ製トランシーバと通信ができるようにチューニングボリュームで周波数を合わせた TG-40 のテストピン LCD FIX と 5V をショートクリップで一瞬だけショートすると TG-40 用液晶表示キットの表示が 7015.00kHz となり、メーカ製トランシーバとの周波数誤差が無くなります。

この機能は、TG-40 のチューニングボリュームの位置に関係なく、任意の位置で表示が強制的に 7015.00kHz になります。
表示だけを補正しますので、液晶表示器を接続していない場合は、この機能は関係なく動作に影響を与えません。
また、チューニングボリュームを MAX の位置でテストピン LCD FIX と 5V をショートすると、この誤差補正機能が解除されて元の周波数表示に戻ります。

なお、オフバンド防止機能は、DDS ユニットへの周波数データで制御され、液晶表示器に表示されている周波数には従いません。
したがって周波数表示が7000.60kHzより上であってもオフバンド防止機能が作動して送信できない場合があります。

オフバンド防止機能は、表示ではなく、DDS へ与えられる周波数データに対して機能しますので、仮に液晶表示の周波数誤差補正を誤った値に設定してしまっても、オフバンドする危険はありません。


   電源ON時の誤送信防止機能
誤ってキーダウン状態で電源をONした場合、サイドトーンから100Hzのブー音が出て送信出力がゼロとなり、意図せぬ誤送信を防止します。
キーアップすると通常の動作モードに戻ります。