TG-40 電源部

TG-40 の定格電源電圧は、DC 12V ですが、動作電源電圧範囲は、DC 9V ~ 13V なので、アルカリ乾電池 8 本による運用が可能です。

下図に単4アルカリ乾電池 8 本で運用した場合の電池の放電特性を示します。

試験条件は、短点連続送信状態 (送信60mS / 受信60mS)、AF出力のサイドトーン音量 10Ω負荷端1.5Vpp
試験した電池は、単4アルカリ電池 Panasonic LR03(XJ)

短点 60mS / 60mS というのは、少し早めのドット連続です。サイドトーン出力 1.5Vpp はスピーカに接続すると普通の音量で聞こえる程度の振幅です。

aaa-battery Panasonic 単4アルカリ LR03(XJ) 8 本使用

aaa-battery
電池電圧が 9V まで低下するのに短点連続送信で約 4 時間という結果になりました。通常の運用状態なら日中、丸1日は使用可能でしょう。

   TX 12V
TG-40 では、ファイナル FET BS170 のドレインに印可する電源 TX12V をマイコンで制御しており、ファイナル FET の保護を行っています。

tx12v

マイコンからの制御信号 AVdd 5V は、電源 ON から約 3 秒遅延して High となり、TX12V が立ち上がります。
これにより電源 ON 直後のイニシャライズ中に DDS やゲートドライブ IC から不安定な信号が出力されてファイナル FET Q08, Q09 が破壊してしまわないように保護します。(TX 12V は、受信中も ON している電源です)

また、テストピン TX OFF を GND と接続するとマイコンの AVdd 5V 信号がキャンセルされて TX12V が強制的に Low になりますので、調整などでファイナル FET からの出力を止めたいときに使用します。

なお、Q100 は P チャンネルの MOS-FET なので電圧だけでゲートの制御が行えます。
Q100 の替わりに 2SA950Y などのバイポーラのトランジスタを使用するとベースに 10mA 以上の電流を流す必要があるので、その分、回路の消費電流が増えてしまいます。
このように TG-40 では、出来るだけ回路の消費電流を減らすため、MOS-FET を採用して省電流設計を行っています。

   5V 電源
TG-40 では、小型化のため、5V の電源生成に TO-92 パッケージ (小型トランジスタと同じ形) の 3 端子レギュレータ 78L05 を使用しています。
78L05 は、コレクタ許容損失 0.6W なので、ディレーティングを考慮すると 1/2 の 0.3W 以下で使用する必要があります。(厳密には 1/3 の 0.2W 以下とする方がよい)

78L05 を直接、電源12V ラインに接続すると許容損失を超えてしまうので、このような場合、通常は抵抗 R により電圧を落としてコレクタ損失を減らします。

power_5v_1

ところが、TG-40 は、電源電圧 9V から動作させる必要があるので、抵抗 R があると電源 9V 時に 78L05 の IN 端子の電圧が下がりすぎて 5V 出力が安定化しなくなります。

そのため、TG-40 では、78L05 の IN 端子に 9V の 3 端子レギュレータ 78L09 を挿入しています。
power_5v_2

電源電圧が 11V 以上の場合、78L05, 78L09 とも正常に動作するので、コレクタ損失は2つの IC に分散され、それぞれ 0.3W 以下で動作することができます。
電源電圧が 11V を下回り始めると 78L09 は動作を止めて 9V 出力は安定化しなくなります。つまり、78L09 は単に抵抗として動作するようになります。
したがって、78L05 の IN 端子は、抵抗で電圧ドロップしたことと同じになるので、78L05 のコレクタ損失は、引き続き 0.3W 以下で動作することができます。このとき、78L05 は電源電圧が 9V になるまで正常に動作します。

以上が、 9V 電源を使用していない TG-40 に 9V レギュレータが搭載されている理由です。