TG-40 送信部ファイナルアンプ

送信部ファイナルアンプは、MOS FET BS170 をパラに使用した E 級アンプで構成しています。
E 級動作なので、本キットのようにコイルにQがそれほど高くないマイクロインダクタを使用し、無調整化したアンプでも効率 70% 程度を達成しており、QRP 機らしい省電流での運用が可能となっています。

E 級アンプの動作原理については、こちらをご覧ください。(外部サイトが開きます) E 級アンプの実験

                    TG-40 ファイナルアンプ (E 級アンプ)
final-amp
L03 とシリーズに接続されている C11 は、L03 のインダクタンスを少しだけキャンセルして出力が 12V で 1W となるよう、微調整用のコンデンサです。

L02, C05, C08, C09, C10 は、E 級ネットワークの一部として 7MHz の LPF を構成しており、L02 と C06, C07 で 7MHz の2倍の高調波 14MHz を低減させるノッチフィルタ(減衰極)となっています。

L03, C11, C12, C13 を含めた E 級ネットワークは、7MHz の BPF と見ることができますので、TG-40 のファイナルアンプのフィルタ構成は、

7MHz BPF + 14MHz 減衰極付き 7MHz LPF

ということになります。

final-amp_filter ファイナルアンプのフィルター構成


   出力と効率
下図に TG-40 の電源電圧を可変した場合の 7MHz 出力とファイナルの効率 η [ % ] の変化を示します。

rf-watts_efficiency

効率は、12V のとき、70 % です。電源電圧が低い方が少し良くなります。
出力は、電源電圧に大きく依存します。電池での運用時、電圧が 9V まで低下すると出力は、約 0.5W になります。
なお、TG-40 の動作電圧範囲は、9V ~ 13V です。(グラフは、13V 以上のデータも示していますが、使用できないので注意)
   E 級アンプのドレイン電圧・電流波形
下図にファイナル FET Q08 のドレイン電圧と電流の波形を示します。(電源電圧 Vcc = 12V)

  E 級アンプのドレイン電圧・電流波形 (Vcc=12V)
bs170_para_ids CH1(黄): ドレイン電圧 Vds   CH2(青): ドレイン電流 Ids (100mA/DIV)

Vds ピークは、45V、Ids ピークは、180mA です。

ファイナルの FET BS170 のスペックは、Vds max 60V, Ids max 500mA なので、充分なディレーティングを持って動作していますが、接続されるアンテナのインピーダンスが低くなると電圧・電流とも増加します。
できるだけ VSWR 2.0 以下に調整されたアンテナで運用するようにして下さい。